データセンターは再生可能エネルギーで世界を救えるか？

データセンターは世界のエネルギー市場に大きな影響を与えている。現在の世界のデータセンター消費量は、全発電量の2％以上であり、グリーンピースでは、2030年までに世界の電力需要の13％に達すると予測している[1]。その結果、データセンターの設計は、世界規模の再生可能エネルギー発電に積極的な影響を与えるユニークな立場にある。フェイスブック、マイクロソフト、グーグルといった業界の大手企業は、「RE100」と呼ばれる世界規模の共同イニシアチブを通じて、「100%再生可能エネルギー」になることを誓約しています[2]。なぜ再生可能エネルギーなのか、どのようにして実現したのか、再生可能エネルギーなデータセンターはどこにあるのか。

再生可能エネルギーは高価で非効率的と見なされているが、なぜ大企業は100％再生可能エネルギー調達のようなコミットメントをするのだろうか？答えは簡単で、2つの意味でビジネスとして理にかなっているからだ。1つ目は、再生可能エネルギーの調達により、企業はエネルギーコストに固定料金制を導入することができる。エネルギーは最大の経常費用であるため、この料金固定はデータセンターの運用コストの安定化と削減に大きな影響を与えます。再生可能エネルギーは、10～25年間固定価格で固定することができる[3]。2つ目は、顧客が求めていることだ。コロケーション・プロバイダーを探す際、大規模なストリーミング・サービスの顧客は、2018年の提案依頼[4]で100%再生可能エネルギーによる電力を要求している。では、再生可能エネルギーが企業の運営経費を削減し、顧客へのアピールを高めることができるのに、なぜもっと一般的ではないのでしょうか？企業のエネルギー調達計画は、発電の可用性と立地に基づいている。これらは、100％自然エネルギー調達を成功させるための複雑な部分である。企業が再生可能エネルギーを調達する方法は2つあります。最初の選択肢は、企業が風力発電所や太陽光発電所、バイオガス燃料電池などの形で再生可能エネルギー発電を敷地内に建設することである。この場合、企業は再生可能発電を所有し、それによって直接電力を供給される。逆に、電力購入契約（PPA）や再生可能エネルギー証書（REC）は、再生可能エネルギー発電が直接顧客に供給されるのではなく、顧客がkWhあたりの固定料金で発電された電力を購入することに同意する契約関係である[3]。顧客は再生可能エネルギー源によって発電された電力を直接利用することはできないが、パートナーは同じグリッド上にいなければならない。顧客は、PPAを通じて電力を購入したことを証明するために、RECによって再生可能電力のクレジットを受け取ることができる。データセンターの立地は、最適な再生可能エネルギー発電と同じ場所ではないことが多いため、PPAはより一般的な再生可能エネルギーの供給源となっている。PPAは、再生可能エネルギー発電にアクセスするためのより広い地理的範囲を可能にするだけでなく、専用のソースを構築することなく、すでに運用されている資産を活用することができます。

発電量は、2020年には世界のエネルギー供給の22.5％にしか達しないと予想されており、企業による再生可能エネルギー100％の達成はより困難なものとなっている。この課題は、完全なオフセット電力を達成するための方程式の隠れた要素、すなわちエネルギー効率の向上とエネルギー消費の削減を露呈している。データセンターにとって、主要なエネルギー効率指標は電力使用効率（PUE）と呼ばれ、総消費電力対IT機器の消費電力の比率値> 1.0。IT機器に加えてデータセンターで消費される総電力は、通常、空調、照明、バックアップ電源である。PUEの数値が低いほど、データセンターの運用効率が高いことを意味する。

地理は、データセンターのPUEと地域のグリッドで利用可能な再生可能エネルギーの量に大きな影響を与えます。例えば、寒冷地ではHVACシステムの負荷と使用量が低下し、PUEは1に近くなります。再生可能エネルギーによる送電網へのアクセスについては、スカンジナビア諸国は、ノルウェーの8g-CO2/kWhを筆頭に、kWhあたりのカーボンフットプリントが最も低いと宣伝している。これに対し、米国の送電網は平均489グラムCO2/kWhを排出している[6]。エネルギー効率に優れ、自然エネルギーで稼働するデータセンターは、ヨーロッパと北米で見られ、自然エネルギー目標を達成するための独創的な方法を示している。2009年、アップルのメイデン（ノースカロライナ州）データセンターは、再生可能エネルギーへのグリッドアクセスがない場所に建設された。その対応策として、道路を挟んだ向かい側に20メガワットの太陽光発電所を建設し、データセンターのエネルギー消費を相殺した。[10]このような取り組みや他の同様の取り組みを通じて、アップル社は2013年に100％再生可能エネルギーによる運営を達成した。マイクロソフトが2014年にワイオミング州シャイアンに建設したデータセンターは、地元の浄水場から発生するバイオガスを燃料とする300キロワットの燃料電池で稼働する200キロワットの概念実証データセンターであった。この設計では、データセンター全体の電力を賄うだけでなく、廃水処理プラントの電力を補うこともできた。このインフラ・パッケージは、クローズド・ループのクリーン・エネルギー・ソリューションのさらなる研究のために、後に地元コミュニティに寄贈された[7]。アップルも同様の燃料電池技術を業務に利用している。2017年、マイクロソフトは、自然エネルギーによるオペレーションとデータセンターが50%に達し、今後も自然エネルギーによる電力調達を増やしていくことを表明している[11] 。

2017年、グーグルはデータセンターとオフィスを相殺するために、全世界で100％再生可能エネルギーを達成した。彼らは2.6ギガワットの再生可能エネルギーの発電事業者と契約を結んでいる[8]。フィンランドのハミナでの具体的な運用では、グーグルは冷却水に天然の冷たい海水を使用することで、1.14という驚異的なPUEを達成した。また、古い製紙工場の建物を再利用することで、建設による影響を軽減している[9]。同社のデータセンターは、地域資源を活用したエネルギー削減と、希望するオフセットを達成するためのPPA契約の組み合わせを例証している。

スウェーデンのルレアにあるフェイスブックのデータセンターは、地域の再生可能な送電網と気候を利用して、再生可能なフットプリントを増やし、エネルギー使用量を減らした例である。スウェーデンの送電網は、80％が低炭素の原子力と水力発電で構成されている[12] 。水力発電のおかげで、電力信頼性が高いため、設計に必要なバックアップ発電機の数を減らすことができた。さらに、自然に冷却された空気と水を利用したフリークーリングにより、PUEを1.07に削減した。スウェーデンの送電網のカーボンフットプリントは13g-CO2/kWh [6]で、他の多くの国よりも低い。フェイスブックは現在までに、約50％の再生可能エネルギーで事業をオフセットしている[10] 。

発電を特定し、顧客と結びつけようとする組織がいくつか存在する。例えば、Renewable Energy Buyers Alliance (REBA)やBitpowerなどである。これらのブローカーは、意識を高め、複雑さを軽減し、生産者と顧客をつなぐための新しい取引の記録を維持するのに役立っている[4]。

完全な再生可能エネルギーのオフセットは、データセンター業界にとって可能である。しかし、それには戦略的思考と投資が必要である。再生可能資源が利用可能な場所に建設する正確な立地計画と、効果的でエネルギー効率の高い設計への多額の資本投資が必要です。上記の例は、エネルギー効率の可能性、斬新な技術の使用、そしてたとえ都合が悪くても再生可能エネルギー源にコミットすることを証明している。CAIは、お客様が再生可能エネルギーの目標を達成するお手伝いをできることを誇りに思います。詳しくはデータセンターのコミッショニングページをご覧ください。また、次のプロジェクトについては、当社のビルディングコミッショニング担当グローバルディレクター、Niall Killeen(niall.killeen@cagents.com)までお問い合わせください！

著者について

アン・シュナイダーは、石油・ガス産業における建設プロジェクトのプロジェクト・エンジニアおよびプロジェクト・マネージャーとして2年半の経験を持つ。彼女のエンジニアリング経験には、設計レビュー、既存施設の運用サポート、システムの水理解析などが含まれます。石油・ガス業界以前は、電気事業会社でインターンとして勤務。